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由良のとをわたる舟人
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2024

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舟人の例大祭は終わった!とか言っておきながら、例大祭11でにいなさんの新刊、『鼎坐為飛泉』にゲストとして寄稿させていただいた一枚についてちょっとおはなしを。
いただいたテーマが「秋と漢文」でしたので、今回秋の漢詩である王維の『山居秋暝』を選びました。


 山居秋暝
空山新雨後 天気晩来秋    空山、新雨の後  天気、晩来秋なり
明月松間照 清泉石上流    明月、松間に照り 清泉、石上に流る
竹喧帰浣女 蓮動下漁舟    竹騒がしくして浣女帰り  蓮動きて漁舟下る
隨意春芳歇 王孫自可留    隨意なり、春芳のやむこと 王孫、自ら留まるべし
「王孫」は楚辞・招隠士の「王孫遊兮不帰、春草生兮萋萋」(王孫遊びて帰らず、春草生じて萋萋たり)より
ここでは王維本人のことを指しています。
王孫って言葉、なんだか天子さんに似合うなぁと思いまして。
大蝦蟇の池に蓮があったのはナイスでした。
山の中、夕暮れどき。ひと雨降ったあとの風が肌寒くってすっかり秋ですねーという感じでしょうか。
秋の山中がとても居心地がよいから、春の花なんて勝手に散っていなさい。
私はこのずっと素晴らしい山中をもっと味わいたいから、もう少し留まることにするよ。
天子さんはこういう風流や趣のわかる方であろうというイメージです。


それから右下のちっちゃいやつ。お恥ずかしいながらこっちが本題でした。
冥加秋明
冥加菊月顕綾甍 冥加は菊月に顕れ甍を綾なす
日晏臨山圃蓋明 日晏山圃を臨めば蓋し明らむ
火以龍田風煬葉 火は龍田の風を以て葉を煬り
禾無廣瀬雨不生 禾は廣瀬の雨無くば生ぜんと
静葉様を龍田風神に、穣子様を廣瀬水神に喩えたものでした。
龍田風神はもともとの神は龍田比古、龍田比女の二対の神と思われ、龍田比女の方は「龍田姫」とされて紅葉の神様として有名です。和歌などにも扱われます。
廣瀬水神の主祭神は若宇加能売命。宇迦之御魂神と同一とされます。宇迦之御魂神といえば穀物の神。兄弟神に大年神(大歳神)をもちます。大歳ハーベスターのあれです。
宇迦之御魂、大歳の母は神大市比売といってスサノヲの妻ですが、スサノヲが神大市比売の前に娶ったのが櫛名田比売。つまり「稲田姫」様になります。複雑。
廣瀬大社では砂を雨にみたてた祈雨の祭り「砂かけ祭」があり、水の神様ですが水の恵み、雨の祈願も含む神様です。
この風と水(雨)をイメージできるので王維の山居秋暝を選んだのでした。
あ、禾は「いね」と読みます。稲です。

龍田と廣瀬はセットで扱われどちらも豊穣の神様とされます。
秋姉妹はこの龍田と廣瀬では、と私は勝手に考えています。
だから秋姉妹は実は本当の姉妹ではないのでは…という妄想です。かわいいです。
東方はまり始めた頃からこの秋姉妹設定をあたため続けているのでそのうち必ず漫画にしたいと思いつつ何年も経ってしまっています……
ちなみに龍田風神の起源は聖徳太子にある、というわりと有名なお話があります。きましたね。誰かください。
一般的な漢詩のくぎりは無視しましたが平仄も押韻もちゃんとあわせてあるはず…。
初めて漢詩つくったのでたぶんだいぶ間違っていることでしょう…多めにみてやってくださいませ…
そしてこれ一番がんばったのが!
最初の字をならべると「禾火日冥」=「秋暝」に!なります!「山居秋暝」なので!
和歌の物名みたいな遊びをしたかった…
えるしっているか しにがみはりんごしかたべない……
たのしかったです(笑
お粗末さまです。
にいなさん、ゲストとして呼んでいただきありがとうございました!
大変たのしく描かせていただきました!

そして素敵な本がこちら。いろんな漢文が引用されていてかっこいい!白居易の一部とその他一部程度しか知識がないので勉強しながら何度も読ませていだたきたいと思います!
そういえば土佐藩の方々がいたように思うのは気のせいでしょうか あ、にいなさん楽しんでるな…、と感じた瞬間でしたw
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柴朗(Shirou)

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